高尾山は「日本一遭難者が多い山」として知られています。標高599メートルの低山で、初心者でも気軽に登れる印象がある一方、毎年100人前後の遭難者が出ているのが実情です。
この記事では、警察庁が2026年6月に発表した2025年の最新統計をもとに、高尾山の遭難者数・発生場所・原因・死亡リスク、そして命を守るための具体的な対策までを、出典付きで整理します。
記事のポイント
- 高尾山の2025年の遭難者数と、2023〜2025年の推移
- 「件数」と「遭難者数(人)」の違いという、見落とされがちな前提
- 遭難が多発する具体的な場所(1号路・6号路・稲荷山コース)
- 中高年・軽装・写真撮影など、2025年に注意すべき遭難の特徴
- 死を防ぐための装備・登山計画書・遭難時の通報方法
高尾山の遭難、2025年の最新状況【106人】

結論として、2025年(暦年)の高尾山の遭難者数は106人です。これは警察庁「令和7年における山岳遭難の概況等」(2026年6月公表)の「主な山岳別遭難状況」に基づく確定値です。前年2024年の131人からは減少しましたが、依然として全国でも突出して多い水準にあります。
高尾山系の遭難者数は、全国の主要な山のなかでも最多クラスで、富士山などの有名な山を上回る年が続いています。「低山だから安全」とは言えない実態が、数字に表れています。
高尾山の2025年の遭難者数は何人ですか?
2025年の高尾山の遭難者数は106人です(警察庁統計)。2024年は131人、2023年は133人だったため、2025年は前年比で約19%減りました。ただし「減ったから安全になった」と読むのは早計で、100人を超える水準は全国の主要山岳のなかでも最多クラスです。
「件数」と「遭難者数(人)」はどう違うのか
高尾山の遭難を語るうえで重要なのが、「件数」と「遭難者数(人)」は別の指標だという点です。1件の遭難事故に複数の遭難者が含まれることがあるため、両者の数字は一致しません。報道や記事では混同されがちですが、本記事の「106人」「131人」「133人」はいずれも警察庁が集計した遭難者数(人)です。
さらに、機関によって集計の母集団も異なります。たとえば警察庁ベースの2025年値は106人ですが、八王子消防署のデータを引用した同年値は43人とされ、両者は同一の数え方ではありません。本記事では、警察庁の値を確定値、消防署系の値を傾向把握の補助データとして扱います。
高尾山の遭難者数の推移(2023〜2025年)
下表は、警察庁の各年「主な山岳別遭難状況」に基づく高尾山の遭難者数の推移です。
| 年(暦年) | 遭難者数 | 出典区分 |
|---|---|---|
| 2023年 | 133人 | 警察庁 公式 |
| 2024年 | 131人 | 警察庁 公式 |
| 2025年 | 106人 | 警察庁 公式 |
参考までに、2022年は警察庁資料の引用ベースで108人とされていますが、公式ドメインでの安定した一次URLは確認できていません。2021年以前の高尾山単独値は、公開された一次資料では確認できませんでした。
※本記事の遭難者数は警察庁「山岳遭難の概況等」に基づく暦年(1〜12月)の値です。「2025年度(4月〜翌3月)」での高尾山単独の公的集計は確認できなかったため、暦年で統一しています。
高尾山の遭難はなぜ多いのか
高尾山で遭難が多い最大の理由は、年間約250万〜300万人という登山者の母数の多さです。「危険な山だから多い」のではなく、「人が圧倒的に多いから、結果として遭難者数も多くなる」という構造が根本にあります。
加えて、東京都心からのアクセスがよく、標高599メートルと低いため、登山の準備をしていない観光客や初心者が多く流入します。ケーブルカーやリフトで中腹(海抜472メートル付近)まで上がれる手軽さが、「観光の延長」での入山を後押しし、装備不足のまま山道へ入るケースを生んでいます。
舗装された1号路がある一方で、6号路や稲荷山コースには沢沿いの飛び石・木の根・急斜面があり、地形の難易度差も大きい山です。「高尾山なら大丈夫」という油断が、こうした地形差への注意を鈍らせることも、遭難を押し上げる要因と考えられます。
高尾山の遭難はどこで起きる?発生場所

結論として、高尾山の遭難は最も利用者が多いメインルートで多発しています。八王子消防署のデータに基づく近年5年間のルート別遭難者数では、1号路が160人で最多、6号路が58人、稲荷山コースが46人となっています。
ここで誤解しやすいのは、「1号路が危険だから多い」のではないという点です。1号路は舗装された初心者向けルートであり、利用者が圧倒的に多いために遭難者数も最多になると読むのが妥当です。一方、6号路・稲荷山コースは件数こそ少ないものの、沢沿いや急斜面という地形リスクを抱えています。
| ルート | 全長 | 地形・特性 | 近年5年の遭難者数 |
|---|---|---|---|
| 1号路(表参道) | 3.8km | 舗装・階段・観光客集中・下山者多い | 160人 |
| 6号路(琵琶滝) | 3.3km | 沢沿い・飛び石・狭路・崖際 | 58人 |
| 稲荷山コース | 3.1km | 尾根道・急傾斜・階段多い | 46人 |
※ルート別人数は八王子消防署系データ、コース属性は高尾登山電鉄・高尾ビジターセンターの公式案内に基づきます。稲荷山コースは2025年、ナラ枯れの危険木伐採のため長期通行止めとなりました(2025年11月1日解除予定)。
1号路(表参道コース)
1号路は遭難者数が最も多いルートですが、これは舗装路で初心者が集中するためです。全長3.8km、麓から山頂まで舗装が続きます。急な坂道が多く、下山時に膝へ負担がかかって転倒するケースが目立ちます。歩きやすい見た目とは裏腹に、距離と勾配のある本格的な登山道です。
6号路(琵琶滝コース)
6号路は沢沿い・飛び石・崖際があり、混雑期には一方通行運用が行われるルートです。全長3.3km。2025年も事故防止と混雑緩和のため、「琵琶滝〜5号路交点」区間で終日登り一方通行が実施されました(2025年12月7日までの運用が告知)。清滝〜琵琶滝間は相互通行が可能で、規制対象は琵琶滝より上部です。管理側が人流を規制するほどリスク管理の対象になっていることは、6号路を歩く際の重要な判断材料です。
稲荷山コース
稲荷山コースは尾根道で急傾斜が続くルートです。全長3.1km。階段が多く、下山時の疲労がある人には足元の負担が大きいコースです。なお2025年は、ナラ枯れによる危険木の伐採作業のため長期間通行止めとなり、2025年11月1日の解除が予定されていました。登る前に必ず最新の通行状況を確認してください。
管理側の対策(一方通行・登山道整備)
高尾山では、登山者の自助努力だけでなく管理側の対策も進んでいます。具体的には、6号路の一方通行運用、登山道の整備工事、東京都環境局によるコース看板の計画的更新などです。つまり予防は「登山者の備え」「人流制御」「標識・救助動線の整備」の三層で進んでいます。
高尾山で遭難する人の特徴と原因(2025年)

高尾山の遭難は、中高年層に偏り、原因は転倒・滑落・道迷い・熱中症/脱水が中心です。警視庁高尾警察署は、高尾山の遭難要因としてこれらを明示しています。転倒・滑落はコースを問わず段差・木の根・雨後の悪路で発生し、道迷いは夕暮れから夜にかけて起きやすく、脱水は季節を問わず発生します。
なお、2025年の高尾山単独について、年齢・性別・居住地・時間帯・天候を一括公開した一次統計は確認できませんでした。以下の特徴は、八王子消防署データを引用した二次資料や過去研究に基づく傾向であり、最新の確定統計ではない点に留意してください。
中高年層に偏る傾向
遭難者の中心は50代以上の中高年層です。八王子消防署データを引用した2021〜2025年の比較では、2025年は遭難者43人中、50代以上が28人(約65.1%)を占めました。2024年・2023年も同様に過半を大きく超えており、中高年偏重は一貫した傾向です。体力の低下や持病が、登山中の体調不良や行動不能につながりやすいことが背景にあります。
軽装登山・写真撮影中の滑落(2025年の注意点)
2025年は、軽装登山と写真撮影中の滑落が改めて問題視されました。東京消防庁関係者の2025年の報道では、サンダルやヒールといった軽装での登山と、写真映えを狙って足元への注意がそれた結果の滑落の増加に注意が促されています。「高尾山だから普段着で」という感覚が、転倒・滑落のリスクを高めています。
時間帯について
過去の高尾山研究では、1号路の下山者が多い日に事故が多く、昼〜午後(12〜13時台、14〜15時台)にピークがあったとされています。ただし、これは過去分析に基づく傾向で、2025年のデータで再確認されたものではありません。「午後は疲労と集中力低下で事故が起きやすい」という一般的な注意として捉えるのが適切です。
高尾山の死亡者数は何人?

高尾山単独の2025年の死亡者数を示す公的な一次統計は、確認できませんでした。そのため本記事では、具体的な死亡者数を断定しません。
参考として、全国の山岳遭難では死者・行方不明者に占める高齢者の割合が高く、過去の警察庁データでは60歳以上が7割超を占めた年もあります。高尾山でも中高年層が遭難者の中心であることから、滑落・転倒・急な体調不良が重大な結果につながるリスクは無視できません。「低山だから死亡事故は起きない」という前提は誤りであり、装備と体調管理がそのまま命を守る備えになります。
高尾山の遭難を防ぐ対策と装備

高尾山の遭難を防ぐ鍵は、登山計画書の提出・適切な装備・遭難時の正しい通報の3点です。警視庁は東京都で登山する人に対し、自分の技術・体力に合った山行、季節と天候に応じた服装・装備、そして登山計画書の提出を求めています。
必ず持ちたい装備チェックリスト
高尾山でも、ヘッドライト・雨具・水・モバイルバッテリーは必携です。高尾警察署も、低山である高尾山で転倒・滑落・道迷い・脱水が起きるとして、具体的な携行品を勧めています。
| 装備 | 目的 |
|---|---|
| 登山靴・トレッキングシューズ | 滑りやすい道・急坂での転倒防止 |
| ヘッドライト | 日没・道迷い時の視界確保 |
| 雨具・防寒着 | 天候悪化・気温低下への対応 |
| 水・行動食 | 脱水・体調不良の予防 |
| 地図・コンパス | 道迷いの防止 |
| 携帯電話+モバイルバッテリー | 通報・現在地確認の生命線 |
| 救急セット | 軽傷の応急処置 |
サンダルやヒールでの入山は避け、初心者はまず舗装された1号路を選び、遅くとも午後3時までに下山できる計画を立てましょう。6号路や4号路は地形リスクが高いため、装備と体力に余裕があるときに選ぶのが安全です。
登山計画書の提出
登山計画書の提出は、万一の救助を早める備えです。通信不能の状況に陥っても、計画書があれば登山ルートや下山予定が共有され、捜索・救助の迅速化につながります。高尾山のような低山でも、提出を習慣にすることが推奨されています。
遭難時の通報(地図アプリの座標を伝える)
遭難したら、ためらわず110番または119番し、可能なら地図アプリで現在地の座標を伝えてください。東京消防庁関係の2025年報道でも、座標通報が救助の迅速化に有効だと説明されています。記事に載っている固定の座標よりも、その場の実際の現在地座標や、登山道の標識番号を伝えるほうが救助には役立ちます。
なお、東京消防庁は山岳救助用の「クイックアタッカー」を運用し、八王子消防署には高尾山頂まで到達できる小型特殊救急車も導入されるなど、搬送時間短縮の体制が整えられています。
よくある質問(FAQ)

高尾山の2025年の遭難者数は何人ですか?
106人です(警察庁、令和7年公表)。2024年の131人からは減少しましたが、全国でも最多クラスの水準です。
高尾山は本当に日本一遭難者が多い山ですか?
遭難者数の多さでは全国でも突出しています。富士山などより多い年が続いており、その主因は年間約250万人超という登山者の母数の多さです。
高尾山の遭難はどこで多いですか?
近年5年では1号路160人、6号路58人、稲荷山コース46人です。利用者が最も多い1号路で遭難者数も最多になっています。
6号路や稲荷山コースは通れますか?
6号路は混雑期に登り一方通行(琵琶滝〜5号路)となることがあります。稲荷山コースは2025年に長期通行止めとなりました。登る前に高尾ビジターセンター等で最新情報を確認してください。
高尾山の死亡者数は何人ですか?
高尾山単独の2025年の死亡者数を示す公的統計は確認できていません。ただし滑落・転倒・急病が重大事故につながるリスクはあります。
遭難が起きやすい時間帯はありますか?
過去の分析では昼〜午後に多い傾向でした。疲労と集中力低下が重なる時間帯のため、早めの下山が安全です。
高尾山に必要な装備は何ですか?
登山靴、ヘッドライト、雨具、水、地図、モバイルバッテリーが基本です。サンダルやヒールでの登山は避けましょう。
まとめ

この記事のポイントを整理します。
- 2025年の高尾山の遭難者数は106人(警察庁)。2024年131人、2023年133人から減少したが依然として全国最多クラス
- 「件数」と「遭難者数(人)」は別指標であり、機関ごとに集計の母集団も異なる
- 遭難は利用者の多い1号路で最多、6号路・稲荷山コースは地形リスクが高い
- 遭難者は中高年層に偏り、原因は転倒・滑落・道迷い・脱水。2025年は軽装・写真撮影中の滑落も問題に
- 稲荷山コースは2025年通行止め、6号路は混雑期に一方通行運用あり。登る前に最新の通行情報の確認を
- 対策の鍵は登山計画書の提出・適切な装備・座標を伝える通報の3点
「高尾山だから大丈夫」という油断こそが最大のリスクです。手軽な山だからこそ、最低限の装備と計画で備え、安全に楽しみましょう。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。遭難者数は警察庁「山岳遭難の概況等」、ルート別人数・年齢比率は八王子消防署系データに基づきます。通行規制など最新情報は各公式サイトでご確認ください。


