映画「夢みる小学校」 ~オオタヴィン監督が描く、日本でもっとも楽しい学校のドキュメンタリー~

「夢みる小学校」で、ミライの学校のヒントを見つけてください

とっしー
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こんにちは、「ゆっくり農縁」の石川敏之です。今回、皆さんにご覧いただきたい映画があるのでご紹介させてください。その前に、少しだけ自己紹介を。

私は現在、東京都あきる野市で「ゆっくり農縁」という自然栽培の畑を営みながら、ライフワークとして、公民館などで映画の自主上映会を開催しています。(詳しいプロフィールはこちら

上映実績は「幸せの経済学」「よみがえりのレシピ」「人生フルーツ」「いただきます」「カレーライスを一から作る」など、食やライフスタイルをテーマにしたものが中心で、食の大切さや社会課題を映像でお伝えできればと思って取り組んでいます。将来は地元あきる野市や、高尾のフモトでミニシアターを創れたら素敵だろうなあ、と夢見ています。

そして、自主上映会を開催するなかで、みなさまにぜひご紹介したい映画に出会いました。

映画の名前は「夢みる小学校」。

青梅のミニシアター シネマネコにて

テストがない、宿題がない、先生がいない、日本で最も楽しい学校のドキュメンタリー映画です。
「子供ファースト」な3つの学校が登場して、「教育の本質」を見せてくれます。
公立の学校でも「ここまでできるんだ!」ということがわかります。

そして、あなたの町の小学校も、「夢みる小学校」に変えられるんです。

まずは「夢みる小学校」のイントロダクションをご覧ください。

2020年から、文部科学省は教育方針を体験型学習へ切り替えた

とっしー
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2019年3月13日の政府広報オンラインに、新しい学習指導要領のお知らせが公開されました。以下に引用します。

グローバル化や人工知能・AIなどの技術革新が急速に進み、予測困難なこれからの時代。子供たちには自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていく力が求められます。学校での学びを通じ、子供たちがそのような「生きる力」を育むために、学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年度より小学校から順に実施されます。小学校中学年から「外国語教育」を導入、小学校における「プログラミング教育」を必修化するなど社会の変化を見据えた新たな学びへと進化します。

政府広報オンライン:2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!

文部科学省のYouTubeチャンネルでも、新しい学習指導要領の説明動画が公開されています。

▼ 生きる力 学びの、その先へ(再生時間 3分18秒)

参考サイト:文部科学省 新しい学習指導要領「生きる力」

国も変わろうとしています。予測困難な時代のなか、自分で問を立てられる子どもたちを増やしていきたいことが見てとれます。そのためには体験型学習(アクティブラーニング)が有効であり、「夢みる小学校」に出てくる学校の取り組みを、親や先生にもっと知ってほしいのではないでしょうか。

なぜなら、映画「夢みる小学校」は、文部科学省選定映画に選ばれているのですから。

映画「夢みる小学校」とは

とっしー
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「夢みる小学校」は、ユニークな教育方針で知られている私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」に密着した、日本でもっとも楽しい学校のドキュメンタリー映画です。

(©まほろばスタジオ)

映画では全国に5校ある系列校のうち、山梨県の「南アルプス子どもの村小学校」を中心に、自己決定・個性・探検という3つの原則を掲げる同学園の取り組みを掘り下げていきます。

さらに、65年間にわたって総合探究学習を続けてきた長野県伊那市立伊那小学校や、校則や定期テストを廃止した東京都世田谷区立桜丘中学校など、公立学校の取り組みも取材されています( 参考:夢みる小学校はどこにある?子どもファーストな3つの学校)。

キャッチコピーは「自分のままでいいんだよ」。
ナレーションは俳優の吉岡秀隆さん。

キャストは「きのくに子どもの村学園」理事長の堀真一郎、脳科学者の茂木健一郎、教育評論家の尾木直樹、文化人類学者の辻信一、作家の高橋源一郎など。

映画に出てくる、子どもファーストな学校の取り組み

とっしー
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映画は山梨県の「南アルプス子どもの村小学校」を中心に、体験学習の取り組みを深掘りしていくものですが、私が学校に対して持っている常識をことごとく覆すものでした。

きのくに子どもの村学園 職員室の様子
(職員室の様子 ©まほろばスタジオ)

例えば、試験がない、宿題がない、通信簿がない、学年がない、教科の名前がない、先生がいない(「おとな」という、見守り役はいます)。

「試験も宿題も通信簿もない小学校って、もしかして『きのくに子どもの村学園』ってフリースクール?」と思いますよね。

ところが違うんです。

こちらは文部科学省の学習指導要領に準拠した一条校で、県知事が正式に認可している、れっきとした「私立の小学校」です。一条校というのは、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第1条に掲げられている教育施設の種類およびその教育施設の通称を指します。

つまり、きのくに子どもの村学園の体験学習の取り組みは、「どこの小学校でも導入できる」ということです。だって、文部科学省の学習指導要領に準拠しているのですから。

「ええ、そうなんですか!」と、みなさんの驚きの声が聞こえてきそうです。

きっとみなさんはご自分の小学生時代を思い出して、あまりにも間逆なこちらの学校の取り組みをすんなり受け入れられないことでしょう。

きのくに子どもの村学園の理事長、堀真一郎さん(以下、ホリさん)が映画の中でこう話されていたことが、とても印象的でした。

「学校は、楽しいだけでいい」

きのくに子どもの村学園の体験型学習とは?

とっしー
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きのくに子どもの村学園は、「プロジェクト」とよばれる体験学習の授業を30年前から続けています。子どもたちはこのプロジェクトを通じて、さまざまな周辺知識を学んでいきます。

授業の6割はプロジェクトと呼ばれる体験学習

(そばを挽く子どもたち ©まほろばスタジオ)

きのくに子どもの村学園には、国語・算数・理科・社会など、主要教科別の授業はありません。授業の6割くらいがプロジェクトと呼ばれる体験学習です。「むかしたんけんくらぶ」「おいしいものをつくる会」「アート&クラフト」「クラフトセンター」「劇団みなみ座」という、衣食住をテーマにしたプロジェクトが5つあります。

子どもたちはこの中から自分がやりたいものを一つ選び、一年間学びます。学年はないので1年生も6年生も同じ縦割りとなります。

映画の中で、「おいしいものをつくる会」の取り組みが紹介されていました。テーマは「麺」。おいしい麺をいちから製麺してみんなで食べようというもの。

しかし、子どもたちには麺の作り方なんてさっぱり分かりません。「おいしい麺って、どうやって作ればいいんだろう?」という疑問が子どもたちの間でわきあがります。

子どもたちは美味しい麺を作るため、本を読んだり、ネットで調べたり、知識を身につけていきます。そして、麺を実際に作って食べてみるのですが、美味しくありません。

もちろん、「おとな」とよばれている先生みたいな人は「正解」を知っています。でも、「こうしたらいいよ」などとはけっして教えません。子どもたちが間違った方向に行かないように、あたたかく見守っているだけです。

とっしー
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このシーンが示唆することは、「失敗から学ぶことが大切」ということなのでしょうか。子どもの頃から失敗を学んでおけば、将来たくましくなりそうですね。

「どうやったら美味しくなるんだろう?」とワイガヤやっているなかで、「ラーメン屋さん見学をしよう!」ということになります。

そうと決まればお店見学のアポ取りです。小さな男の子がラーメン屋さんに電話してアポをとります。たどたどしく電話する、このシーンがとても可愛らしくて、心の中で「頑張れ、頑張れ!」と応援したくなるのです。

そして、無事にラーメン屋さん見学は実現します。

プロジェクトメンバーはゾロゾロとラーメン屋さんに行って、お店の人にあれこれと質問を浴びせます。お店の人も質問に丁寧に答えるのですが、この時点で「この子たち、ものすごい探究心と行動力だなぁ」と感心することしきり。みなさん、小学生のときこんなことしてました?

基礎学習で必要となる周辺知識を横断的に学ぶ

(時間割のようなもの ©まほろばスタジオ)

プロジェクトの合間には、「基礎学習」という、授業のようなことをします。「おとな」は、おいしいラーメンを作るために子どもたちが取り組んだ内容を資料にまとめ、子どもたちと情報を共有します。基礎学習は、プロジェクト活動から派生した知識を整理する、補完的な位置づけとなっています。

あとは、実際にラーメンを作ってみんなで食べる。あんまり美味しくないな。どうしたら美味しくなるんだろう?また調べて実践して基礎学習、というサイクルを繰り返していきます。

このように、子どもたちは「おいしいラーメンをつくる」というテーマを軸足として、必要となる周辺知識を自然に学びます。例えば、「麺」という漢字の成り立ちを調べ(国語)、小麦粉と水の配分量を計算し(算数)、ラーメンの歴史を調べる(社会)。このように、子どもたちの知識欲をかきたてながら、国語・算数・理科・社会を科目横断的に学んでいくのです。

プロジェクトの結果について成績の通知表はありません。「生活と学習の記録」という、子どもたちの感情的側面・知的側面・社会的側面について丁寧な文章で綴った「お知らせ」があるだけです。

このような一連の体験学習で、子どもたちは自分の好きなこと、興味のあること、ワクワクすることを楽しみながら、探究力や創造力、チャレンジ精神、行動力、チームワークなどの能力を高めていきます。子どもの村のプロジェクトは、体験の過程そのものが学習といえます。

これが、きのくに子どもの村学園体験学習の真髄ともよべるものです。

いろいろなことを、ゼロから主体的に考え行動して育った子どもたちは、普通の学校で育ってきた子どもたちと、脳の使い方がまったく異なるであろうことは容易に想像できます。

脳科学者の茂木健一郎さんは、こう話されています。

「教科を超えて体験学習することは、脳の回路が前頭葉を中心に有機的に結びつき、脳のOSが書き換わる」

脳科学者 茂木健一郎さん
(脳科学者の茂木健一郎さん ©まほろばスタジオ)

子どもたちは体験学習ばかりで将来、苦労しないの?

とっしー
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きのくに子どもの村学園の理事長 ホリさんは、よく聞かれることがあるそうです。「体験型学習ばかりでは学力がつかず、将来、子どもたちは苦労するのではないか?」と。

この質問に対してホリさんはこう答えます。

「うちは学力をまったく重視していない。でも、うちのやり方でも、いわゆる学力には困らない」

きのくに子どもの村学園理事長 堀真一郎さん
(きのくに子どもの村学園理事長の堀真一郎さん ©まほろばスタジオ)

ホリさんによると、きのくに子どもの村学園を卒業して、成績表のある公立校に進んだ子どもたちの成績は、平均して200人中20数番目くらいだそうです。

なぜこのような結果になるのでしょう?
ホリさんの学校を卒業した生徒は、ふつうの学校に入ってびっくりするそうです。

「先生が全部教えてくれるし、なんでもただ覚えればいいだけだから」

また、文化人類学者の辻信一さんのエピソードも興味深いものでした。
辻さんが明治学院大学で教えていた頃、ゼミ生にきのくに子どもの村学園の卒業生が何名かいたそうです。

「彼らはみな問う力が際立っていて、とにかく質問してくる。きのくに卒業生の「問いを立てる力」が、他の学生とまったく違う特質であった」

文化人類学者 辻信一さん
(文化人類学者の辻信一さん ©まほろばスタジオ)

きのくに卒業生の中には、総代(学年で最も優秀な卒論)になった学生もいたのだとか。

まほろばスタジオ主宰 オオタヴィン監督インタビュー

とっしー
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オオタヴィン監督と初めてお会いしたのは、「いただきます2 ここは、発酵の楽園」の試写会でした。この映画は、自分が目指していたことに一番フィットする作品だったので、その後、監督の応援団の一員としてお手伝いすることになりました。

オオタヴィン監督
(オオタヴィン監督 まほろばスタジオにて)

オオタヴィン監督プロフィール
愛知県出身。
まほろばスタジオ主宰。高尾フモト在住。
過去に「子ども」をテーマにした長編ドキュメンタリー映画を3本制作。
監督・編集・デザイン・雑用すべて一人で完結する。
大病をきっかけに、医食同源を30年間継続している「発酵映画監督」。
その経験を活かして2017年、医食同源・食養生をテーマにした「いただきます1 みそをつくるこどもたち」を初監督。
2020年にはシリーズ2作目「いだだきます2 ここは、発酵の楽園」を公開。
土壌微生物と腸内細菌の循環による生命の輪を表現した。
2022年、”心の発酵”をテーマにした3作目「夢みる小学校」を公開。
幼年期に「多動児」だった自身の経験から、個性を生かし自己肯定感を高める「自由教育」を密着取材した。
著書:こどもはミライだ!

まほろばスタジオ」はオオタヴィン監督の作品を制作・配信する映画スタジオで、健やかなミライを夢見る映像作品をお届けしています。

オオタヴィン監督はこれまで、3本の長編ドキュメンタリー映画を制作。
1作めの「いただきます1 みそをつくるこどもたち」では、発酵食をテーマに医食同源や食養生を、2作目の「いただきます2 ここは、発酵の楽園」では、有機農業をテーマに、土壌微生物と腸内細菌の循環による生命の輪を表現しました。

そして、3作目の「夢みる小学校」では、こどもたちの「心の発酵」をテーマに、教育にフォーカスしました。今回、まほろばスタジオにおじゃまして、監督の「ドキュメンタリー映画に込めた想い」をお伺いしにいってきました。

まほろばスタジオ 「なつかしいミライ」へ込めた想い

オオタヴィン監督

石川:まほろばの3つのルール「子どもたちの幸せを最も大切にします」「先人たちの知恵を繋げていきます」「生命体地球の全ての生命を尊重します」に共感します。この3つにたどり着いた経緯を教えてください。

ヴィン監督:大人がやるべき仕事でほんとうに大事なことは何かと考えたとき、この3つにたどり着きました。私も60歳を過ぎて、残りの人生で何をやるべきかといったら、子どもたちになるべく負の遺産を残さないで幸せになってもらうことじゃないかと。

石川:まほろばスタジオのホームページには、「まほろばスタジオは、なつかしいミライへ続く道標のような映像作品を創っていきます」と書いてあります。「なつかしいミライ」という言葉に込めた想いをお聞かせください。

ヴィン監督:スウェーデンの言語学者、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんが書いた、”Ancient Futures” という本があります。この本の内容は、グローバリゼーションにより引き起こされる環境破壊や自然破壊、地域共同体の崩壊に、どのような新たな未来が描けるのか模索するというものです。この”Ancient Futures”を日本語訳したのが「懐かしい未来」。彼女の提唱する、「科学だけが発達して人間だけが便利になるという未来ではなく、守るところは守り、変えていけるところは変えよう」という理念に共感し、人間が幸福になる未来を「なつかしいミライ」と表現しました。

石川:ヘレナさんは映画「幸せの経済学」のプロデューサーをされていますね。この映画の上映会を開催したことがあります。私も孫が5人いるのですが、子どもたちの未来のためにお金を残すよりも、幸せな社会を残してあげたいと思っています。

ヴィン監督:そうですよね。ネイティブアメリカンは7世代先の子どもたちのことを考えて物事を決定するそうです。日本の場合は、半年先の決算しか考えていないように見えますね。

石川:今だけ、自分だけ、お金だけ、みたいな感じでしょうか。

ヴィン監督:だから、「一番の被害者は子どもなんだよ」という想いを込めて、子どもの映画を撮っているということなんですね。こどものために、なるべく日本の綺麗な自然を残してあげて、原発のような負の遺産はなくしてあげたいと思います。

石川:食の問題に関しても同様ですね。何を食べるかで、子どもの未来に大きな影響を与えてしまいますね。

ドキュメンタリー映画の「北風派」と「太陽派」について

石川:ドキュメンタリーの映画監督は、童話の『北風と太陽』に例えると、北風派と太陽派に分かれます。問題を鋭く告発したり追求したりする北風派が、ドキュメンタリー映画の主流です。これに対し太陽派は、穏やかで詩的な方法でメッセージを伝えようとします。
監督の語り口はとても詩的(Poetry)で、女性的な印象を受けますが、ドキュメンタリー映画でメッセージを伝えるうえで大切なことを教えてください。

ヴィン監督:ドキュメンタリー映画の場合、目的は告発や反対運動などが主流ですが、視聴者が衝撃の真実を知ったあと、「じゃあ具体的にどうすればいいの?」という問題が残ります。
原発をとめた裁判長」という映画があるのですが、この映画では原発の危険性を指摘するとともに、放射能汚染によって廃業した農家が、太陽光発電のシェアリングを通じて農業を復活させるという、「スタイルの転換」を解決策として提示しています。
北風派の映画は山のようにあるのですが、僕は太陽的な、見終わると温かい気持ちになる映画を撮ろうと思っています。でもこれは北風派があるのが前提で、僕はどちらも必要なアプローチだと思っています。

石川:そうですね。どちらも必要だと思います。より多くの人に知ってもらうには、太陽派が向いているのでしょうか?

オオタヴィン監督

ヴィン監督:太陽派のドキュメンタリーは、若い人にも観やすいのではないかと思います。とくにお母さんに観てもらいたいので、「農薬がだめとか食品添加物は問題だ」とか、あまり真正面からメッセージを伝えると、インパクトはあるけどちょっと観づらいんじゃないかなと。僕は親子連れでも観れるようなテイストで撮りたいですね。

石川:ところで、監督はご自分の作品を「Poetryドキュメンタリー」と呼ばれていますが。

ヴィン監督:「Poetryドキュメンタリー」ですが、単純な記録映画ではなく、エモーショナルな形で、いかに「詩的」な映像言語を使ってメッセージを伝えるかという、自分なりの映像の方法論をそう呼んでいます。よく、「女性監督なの?」と言われますね。

石川:女性的な視点はすごく大切だと思います。監督の女子力で、お母さんの購買行動が変わってくれればいいですね。

ヴィン監督:「買い物は投票なんだ」という本では、日々の買い物が社会に与える影響や「自分たちが何を買うか」で、世界を変えられることが語られています。
読者は日々の買い物において、環境や社会に配慮した選択をすることで、「少しずつでも社会を変えていくことができる」というメッセージを受け取ることができます。
「有機農家の方が頑張って安全な野菜を作ってくれたのだから、買って応援しよう」というお母さんが増えると、農家さんを支えることに繋がるのではないでしょうか。

国の食糧政策と食料問題について

石川:「いただきます2 オーガニック給食編」では、千葉県いすみ市が市内の全14小中学校にオーガニック給食を導入した事例が紹介されています。しかしながら、このような取り組みをされている学校は少数派です。
2022年4月22日に施行された農水省の「みどりの食料システム法」は、農林漁業に由来する環境への負荷の低減を図ることを目的としており、その中で有機農業の推進が示唆されています。
このように、国レベルで推進していることが、地方自治体レベルでは落とし込まれていないように思われます。また、一般の消費者は、このような国の取り組みについてまったく知らないようです。

ヴィン監督:従事者に向けてもっと補助金を出さないと、なかなか広まらないと思います。それから、日本中の公教育の給食の半分をオーガニックにすると決めてしまえば、食材が必要となり、自然と有機農家も増え、収入も安定していきます。それだけの単純な話だと思います。

石川:鈴木宣弘先生(元農水官僚)の「世界で最初に飢えるのは日本」という本がベストセラーになっていますが、日本の食料自給率が4割を切っている状況についてはどうお考えでしょうか。

ヴィン監督:今、政府は有事に備えて防衛予算を増額しようとしています。しかし、食料自給率が4割以下なのに、有事に備えることは難しいと感じています。食料が来なくなるわけですから。兵糧攻めにあったら持ちません。
防衛予算を増額するという議論のまえに、やることが2つあると思います。ひとつめはいまお話した「食料自給率を上げる」こと。ふたつめは「原発をなくす」ことです。
原発については稼働させないだけではだめで、完全な廃炉にしない限り、有事の際に脆弱といわざるを得ません。原発にミサイルを打ち込まれたら放射能による被害が広範囲に及んで、日本の食料システムに甚大な影響を与えます。
それから、今、化学肥料の価格が高騰していて、将来的に化学肥料が使えなくなる可能性を想定すると、やはり有機農業を推進していく必要性を感じます。日本では、「なぜオーガニックが必要なのか」という理解があまりないように見受けられます。

石川:そうですね、安ければいいという価値観が主流ですね。

ヴィン監督:消費者は食料にたいして、お金を出せばいつでも手に入る「商品」だと思っています。でも農業人口は激減していて、農家さんがいなかったら新鮮な食料は食べられないわけです。それならば、「消費者が農家を支える」と、考え方をシフトすることが大切ではないでしょうか。
また、有機野菜が「無農薬野菜と同一の認識」で広まってしまったこともまずかった。有機野菜は単に農薬を使わない野菜ではありません。コンセプトがまったく違うのです。
今後、持続可能な土壌環境を残していかないと、大地が再生しなくなります。慣行農法であれ有機農法であれ、このことは農業問題の範疇を超えて日本の死活問題であるといえます。化学肥料を使う農業には完全に限界が来ているという状況です。

石川:本当ですね。今後は消費者も、食料に対する認識を切り替える必要がありそうですね。

ヴィン監督:そのためには、小学生のうちは農業と食、この二つをもっと重点的に勉強すれば、食料に対する意識が上がると感じます。

石川:本日はお忙しいなか貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

取材の最後に

とっしー
とっしー

今回、映画「夢みる小学校」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。国も教育方針を変えようとしてる現在、この映画がもっと多くの親御さん、先生、市政に関わる方に観てもらえればとても嬉しくおもいます。

私の夢は、地元あきる野市や八王子(高尾のフモトがいいです!)にミニシアターを創ること。名付けて、「ご縁シネマ」。オーガニック食材のメニューを揃えたカフェも併設できたら素敵ですね。そして、「夢みる小学校」のような、観ている人があたたかい気持ちになれるような映画をたくさん上映していきたいと思っています。

映画を観たあとはディスカッションタイムです。ここで「環境問題や食料問題に対して、個人レベルで取り組めることはなにかな?」と、皆さんとシェアできれば、こんなに嬉しいことはありません。

今年は事業である「ゆっくり農縁」のホームページを立ち上げて、皆さんと「ご縁」をより深めていこうと計画しています。ホームページを公開するときに、また皆さまとお会いできることを楽しみにして、今回の記事を終わりたいと思います。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

Interviewer 石川敏之( ゆっくり農縁
Photo by 山本ミニ子( にちにち寫眞
Produced and Written by 佐藤秀之( WEB参謀のSpyral

夢みる小学校 基本情報

公式ホームページ:https://www.dreaming-school.com/
Twitter:https://twitter.com/dreaming_school
Instagram:https://www.instagram.com/yumemirushogakko/
Facebook:https://www.facebook.com/yumemiru2525/

まほろばスタジオ:https://www.mahoroba-mirai.com/

体験学習や自由教育に興味をもたれた方へ 参考リンク集

当記事を読まれて、「映画を観たくなった」「自主上映会をしたくなった」「もっと学びを深めたい」という方のために、参考となる情報を以下にまとめました。

「夢みる小学校」を観たくなった方へ 上映スケジュールのご案内

自主上映スケジュールは「夢みる小学校」公式サイトで公開されています。

夢みる小学校 自主上映スケジュール

コロナの影響で、休館、延期、時間変更が日々あります。事前に確認のうえ、お出かけくださいますようお願いいたします。

「夢みる小学校」をあなたの町で上映したくなったら 自主上映会の申込み

あなたの町の公民館やカフェで、誰もが「主催者」として上映会を企画できます。
できれば、「学校の体育館」を会場にして、
校長先生や現場の先生、PTA、子どもたちと一緒に映画を見て、
上映後は、自分たちの学校で何ができるか、わいわい自由に対話してほしいのです。

夢みる小学校公式サイト 自主上映お申し込みページより

自主上映会のお申し込みはこちら

本で学びを深める

オオタヴィン監督
子どもはミライだ!

「いただきます1」「いただきます2」「夢みる小学校」3本の映画の秘蔵エピソードが満載。
カラー写真が56ページ。
食育、食養生、有機農業、自由教育、発酵と健康な子育てについて、やさしい文章で、一冊にまとめてみました。帯の推薦文は小雪さん。ママたちに読んでほしいな。

夢みる小学校 公式サイトより

堀真一郎
自由学校の設計 きのくに子どもの村の生活と学習
体験学習で学校を変える きのくに子どもの村の学校づくりの歩み
新装版 きのくに子どもの村の教育 体験学習中心の自由学校の20年

西郷孝彦
校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール

汐見稔幸
「天才」は学校で育たない
教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと

尾木直樹
おぎ・もぎ対談 「個」育て論
取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと

A・S・ニイル
新訳 ニイルのおバカさん A.S.ニイル自伝

岩波明
天才と発達障害

リヒテルズ直子
公教育をイチから考えよう

岩竹美加子
フィンランドの教育はなぜ世界一なのか

Webサイトで学びを深める

政府広報オンライン
新しい学習指導要領、スタート!

文部科学省
学習指導要領「生きる力」
小学校学習指導要領解説

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「夢みる小学校」中嶋朋子&オオタ監督対談ダイジェスト映像

「夢みる小学校」✕ 経産省「未来の教室」 「ユニークな学校」はどう生まれるか?

汐見稔幸の夢みる小学校とは?

窪塚洋介 今をよくするTV

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みんなの学校」あらすじ

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茅ヶ崎市立香川小学校 通知表「あゆみ」をなくした小学校
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