この記事の情報は2025年7月現在のものです。工事の進捗により状況は日々変化しますので、最新かつ正確な情報は必ず 国土交通省 関東地方整備局 相武国道事務所の公式サイト でご確認ください。
八王子市民の長年の悲願である国道20号「八王子南バイパス」。甲州街道の慢性的な渋滞を解消し、圏央道へのアクセスを向上させるこの巨大プロジェクトは、現在どこまで進んでいるのでしょうか?
「いつ全線開通するの?」
「工事の進捗状況は?」
「通行料金はかかる?」
この記事では、そんな八王子南バイパスに関するあらゆる疑問に答えるため、国土交通省の公式発表や最新の報道、現地の状況を徹底的にリサーチ。ルート図や工区ごとの進捗、難航するトンネル工事の現状、そして気になる開通予定まで、どこよりも分かりやすく、詳しく解説します。

この記事を読めば、八王子南バイパスの「今」と「未来」がすべてわかります。
AIキャスターによる音声ガイドも作りましたので、こちらもお聴きください。
読み間違いはご容赦願います。
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八王子南バイパスとは?事業概要を分かりやすく解説
まずは、八王子南バイパスがどのような道路なのか、基本情報から確認していきましょう。
事業の目的:なぜ八王子南バイパスが必要なのか?
八王子南バイパスの最大の目的は、国道20号(甲州街道)の交通渋滞の緩和です。
現在の甲州街道は、八王子市中心部を通過する生活道路と、都心と山梨方面を結ぶ広域交通が混在し、特に朝夕のラッシュ時を中心に激しい渋滞が発生しています。
八王子南バイパスが完成すると、市街地を通過する必要のない広域交通がバイパスを利用するようになり、以下のような効果が期待されています。
- 甲州街道の渋滞緩和
- 移動時間の短縮と定時性の確保
- 圏央道 高尾山ICへのアクセス向上
- 交通事故の減少
- 災害時の代替路(リダンダンシー)確保
まさに、八王子市の交通を円滑にし、地域の活性化を支える重要なインフラプロジェクトなのです。
ルートと全体像:どこからどこまで繋がる道路?
八王子南バイパスは、八王子市北野町(国道16号八王子バイパス)を起点とし、八王子市南浅川町(圏央道 高尾山IC付近)を結ぶ、全長約9.6kmの国道です。
計画では全線4車線で整備される予定で、現在は一部区間が暫定2車線で開通しています。
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 一般国道20号 八王子南バイパス |
起点 | 東京都八王子市北野町(国道16号八王子バイパス接続部) |
終点 | 東京都八王子市南浅川町(圏央道 高尾山IC付近) |
延長 | 約9.6km |
道路規格 | 第3種第1級 |
設計速度 | 80km/h |
車線数 | 4車線 |
事業主体 | 国土交通省 関東地方整備局 |
八王子南バイパスは有料?無料?料金について
結論から言うと、八王子南バイパスは通行料金のかからない「無料」の一般国道として整備されています。
有料の高速道路(例:中央自動車道)とは異なり、国道20号の新しいバイパスという位置づけのため、誰でも無料で通行できます。一部で「料金がかかるのでは?」という声も聞かれますが、その心配はありません。
【2025年最新】八王子南バイパスの進捗状況と今後の開通予定
多くの人が最も知りたい「いつ開通するのか?」という疑問。ここでは、2025年7月現在の最新の進捗状況と今後の見通しについて解説します。
全体事業の進捗率と今後の見通し
国土交通省の最新の発表(2025年4月公表)によると、2025年3月末時点での事業全体の用地取得率は約98%、事業進捗率は約58%となっています。
しかし、全線開通の具体的な時期は、残念ながらまだ示されていません。
その最大の理由は、後述する「片倉トンネル」と「館第二トンネル」という2つのトンネル工事が残っており、特に片倉トンネルはまだ本格的な工事に着手できていないためです。
時系列で見るこれまでの開通実績
八王子南バイパスは、これまでに3つの区間が部分的に開通しています。
開通年月日 | 区間 | 延長 |
---|---|---|
2010年8月6日 | 館町~南浅川町(医療センター西~高尾山IC) | 約1.2km |
2015年3月27日 | 大船町~寺田町 | 約1.4km |
(上記2区間を接続) | 館町(医療センター東)~大船町 | 約0.6km |
合計 | 約3.2km |
これにより、八王子医療センター付近から圏央道 高尾山ICまでが一本で繋がり、周辺の交通は大きく改善されました。
次に開通するのはどこ?大船~寺田地区の現状
現在、最も工事が進んでいるのが、町田街道(大船町)から西側、すでに開通している寺田地区に接続する区間です。この区間では、「大船寺田高架橋」の架設工事などが精力的に進められています。
2024年後半から2025年にかけて橋桁の架設が完了し、現在は橋の上の舗装や標識設置などの工事が進められており、開通に向けてまさに佳境に入っています。
この区間の開通が次期目標であることは間違いなく、一部報道では2026年度中の開通を目指す動きもあると伝えられていますが、2025年7月現在、国土交通省からの正式な開通時期の発表はありません。今後の公式発表が待たれる状況です。
【工区別】詳細な進捗状況と工事内容
ここでは、八王子南バイパスの全区間を5つに分け、それぞれの進捗状況を詳しく見ていきましょう。
①北野町~片倉町エリア(片倉トンネル)
- 状況: 未着工
- 概要: 国道16号八王子バイパスに接続する起点部分。この区間の大半は「片倉トンネル(仮称)」となる計画ですが、JR横浜線や京王高尾線の下を通過する必要があるなど、技術的に非常に難易度の高い工事が想定されています。現在、詳細設計が進められている段階で、本格着工の目途は立っていません。全線開通の時期を左右する最重要区間です。
②片倉町~大船町エリア
- 状況: 一部工事中
- 概要: 片倉トンネルの出口から、町田街道に接続するまでの区間。一部で用地取得が進み、改良工事が行われています。この区間も、片倉トンネルの進捗に大きく影響を受けます。
③大船町~寺田町エリア(大船寺田高架橋)
- 状況: 工事最盛期
- 概要: 現在、最も工事が進捗している区間。大船寺田高架橋の橋脚が立ち並び、橋桁の架設も完了。現在は舗装や標識設置など最終段階の工事が行われています。この区間の完成が、次期開通の鍵を握ります。
④寺田町~館町エリア(館第二トンネル)
- 状況: 工事中(内装・設備工事)
- 概要: 八王子医療センターの東側を通る区間。ここには「館第二トンネル(仮称)」があります。硬い岩盤により難航した掘削およびトンネル本体のコンクリート工事は完了し、現在はトンネル内の防水工や内装、照明・換気といった設備工事が進められています。
⑤館町~南浅川町エリア(開通済み区間)
- 状況: 開通済み
- 概要: 八王子医療センター西側から圏央道 高尾山IC付近までの約3.2km。暫定2車線で開通しており、バイパスの効果を既に実感できる区間となっています。
難航する2大トンネル工事の現状
八王子南バイパスの全線開通を阻む「壁」となっているのが、2つのトンネル工事です。なぜ工事は難しいのでしょうか。
片倉トンネル(約1.9km):詳細設計と今後の見通し
片倉トンネルは、JR横浜線、京王高尾線、そして住宅地の下を通過する計画です。鉄道を運行させながら、かつ周辺住民の生活への影響を最小限に抑えて工事を進める必要があり、非常に高度な技術が求められます。
現在は、最適な工法を検討するための詳細設計が行われている段階です。この設計が完了し、実際の工事が始まらない限り、全線開通の時期は見えてきません。
館第二トンネル(約520m):硬い頁岩との闘い
寺田町と館町の間を結ぶ館第二トンネルは、開削工法で掘削が進められていましたが、想定以上に硬い「頁岩(けつがん)」という岩盤に突き当たり、工事が一時難航しました。
しかし、その後の懸命な工事により、トンネル本体構造は完成。現在は、安全な通行に不可欠な照明や換気扇、非常用設備などを設置する作業が行われており、完成に向けて着実に前進しています。
周辺地域(ゆりのき台など)への影響は?
バイパスの建設は、周辺地域にどのような影響を与えるのでしょうか。メリットと、工事期間中の注意点をまとめました。
開通によるメリット:渋滞緩和とアクセス向上
全線開通すれば、甲州街道の渋滞が緩和されるだけでなく、町田街道や北野街道など、周辺の主要道路の交通もスムーズになることが期待されます。
特に、八王子みなみ野の「ゆりのき台」や「めじろ台」といった住宅地から、都心方面や圏央道へのアクセスが格段に向上し、地域全体の利便性が高まるでしょう。
工事期間中の影響:騒音・振動・通行止め
一方で、工事期間中は、建設機械の稼働による騒音や振動が発生する可能性があります。また、橋桁の架設などの大規模工事の際には、夜間の通行止めが実施されます。
工事は安全基準に則って行われますが、近隣にお住まいの方は、国土交通省や八王子市が発表する情報に注意が必要です。
ゆりのき台、めじろ台周辺の状況
館町や寺田町に隣接する「ゆりのき台」や「めじろ台」エリアでは、館第二トンネルや大船寺田高架橋の工事が進められています。工事車両の通行や、一部市道の切り回し(迂回)などが行われており、住民の生活にも影響が出ています。
しかし、これらの工事は将来の利便性向上に不可欠なものです。完成すれば、これらの地域はバイパスへのアクセスが非常に良い立地となります。
八王子南バイパスの工事に伴う通行止め情報
バイパス工事、特に高架橋の架設工事に伴い、周辺の市道などで夜間通行止めが断続的に実施されています。
最新の通行止め区間・期間
最新の情報は、事業主体である国土交通省 関東地方整備局 相武国道事務所のウェブサイトで確認するのが最も確実です。
工事の進捗によって通行止めの場所や日時は変更されるため、車で通行する予定のある方は、事前に公式サイトを確認することをおすすめします。
[参考] :国土交通省 関東地方整備局 相武国道事務所 公式サイト
迂回路と注意点
通行止めが実施される際は、必ず迂回路が設定されます。現地の案内看板や警備員の指示に従い、安全に通行してください。慣れない道を通る可能性もあるため、時間に余裕を持った行動を心がけましょう。
Q&A 八王子南バイパスに関するよくある質問
- Q完成予想図はどこで見られますか?
- A
国土交通省 相武国道事務所が開催する事業連絡調整会議の資料や、工事現場周辺に設置されている看板などで、完成後のイメージ図やCGパースが公開されることがあります。ただし、一般向けに常時閲覧できる完成予想図は、現在のところ限定的です。最新の会議資料などをチェックするのが良いでしょう。
- Q全線開通はいつ頃になりますか?
- A
2025年7月現在、全線開通の具体的な目標時期は公式に発表されていません。 最も難易度の高い「片倉トンネル」の工事が本格化してから、全体像が見えてくると考えられます。まずは、現在工事が進む「大船町~寺田町」区間の開通が待たれるところです。
- Q工事の進捗が遅れている理由はなんですか?
- A
主に2つの理由が挙げられます。一つは「館第二トンネル」工事エリアで想定以上に硬い岩盤(頁岩)が見つかり、掘削に時間がかかったこと。もう一つは、事業全体で最も難工事とされる「片倉トンネル」が、鉄道や住宅地の下を通過するため、慎重に設計・工法を検討しており、まだ本格着工に至っていないためです。
まとめ:八王子南バイパスの完成で未来はこう変わる
八王子南バイパスは、部分開通ながらも、既に地域交通に大きな恩恵をもたらしています。
現在は、次期開通区間である「大船~寺田」エリアの工事が最終段階を迎えており、完成すれば町田街道から圏央道までが直結され、利便性は飛躍的に向上するでしょう。
全線開通までには、片倉トンネルという大きなハードルが残されていますが、この壮大なプロジェクトが完成した時、八王子市の交通ネットワークは新たな時代を迎えます。慢性的な渋滞から解放され、スムーズで快適な移動が実現する日は、着実に近づいています。

重ねてとなりますが、工事状況は日々変化します。お出かけの際や詳細な情報を確認したい場合は、必ず国土交通省の公式サイトをご確認ください。