昨年の12月、八王子市恩方の建設会社「株式会社健組」の小屋作りワークショップ「小屋の学び舎」をご紹介しました。
「小屋の学び舎」は、伝統工法の技術を継承する健組の棟梁・小野田健さん他3名の講師陣による技術指導を受けながら、参加者全員で「伝統木構造」の小屋作りをするワークショップです。
今回、小野田さんに、伝統工法の技術である「木組み」についてお話を伺いしてきました。
日本建築の伝統工法「木組み」とは
こちらの建設会社の大きな特徴は、山主さんから預かっている山で木を伐採し製材していることと、代表であり現場にも立つ棟梁・小野田さんが、日本建築の伝統工法「木組み」の技術を受け継いでおられることです。
「木組み」とは、釘や金物、接着剤を使わずに木材を組んで建築する高い技術のこと。
最近の家作りでは「木組み」の技術を要求しないことが多いせいもあり、受け継ぐ職人は減りつつあるそうです。
小野田さんは「我々(40~50歳台)が、木組みができる最後の世代かもなあ」とおっしゃっていました。
森を育て生態系を守る健組の取り組み
健組の家作りは、森を守り育てるところから始まっていると言えます。
山を手入れし生態系を守ることで良い木を育て、伐採した木は化石燃料に頼らず天然乾燥させる。
そして山のふもとにある健組の作業場で製材する。
木組みで作るだけでも高価な家作りになりそうなイメージがあると思いますが、使われる木までこんなに手間暇かけていたのでは手が出ないなと思われる方も多いかもしれません。
ですが、管理する山のふもとに作業場があることで、他から仕入れて運んで来るよりも安くなるそうです。
木組みの技術を用いない建築方法の選択も可能ですが、木組みを選んだ場合でも、間取りをシンプルにするなどで予算を抑えることはできます。
伝統工法で作られた家は100年後も住み続ける家。そう考えると価格以上の価値があると感じますね。
そして、山を守り育てる取り組みには、小野田さんなりのユニークなビジネスモデルがあります。
「安い輸入材が入ってきて林業はもうからないと考える人が多いでしょう。
でも、ふもとで製材して現場に持っていけば経費が抑えられるから、山主にも利益が出るしお客様も良い木が使えて、皆にメリットがある。
このビジネスモデルが全国に広がれば、山が保全されるから土砂崩れや洪水の被害も減る。
人が山に出入りすれば野生動物との棲み分けができるから、人里への被害を減らせる。」
この構想は建築における地産地消と言えるかもしれませんね。
伺ったお話からイメージした構想を簡単にイラストにしてみましたのでご覧ください。
株式会社健組 基本情報
株式会社健組
住所:八王子市上恩方町533-1
電話:0120-019-493
HP:株式会社 健組
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