燃えるような赤、鮮やかな黄色、そして常緑の緑が織りなす絶景のコントラスト。都心からわずか1時間でたどり着ける高尾山は、毎年秋になると、その美しさを一目見ようと多くの人々で賑わう、関東屈指の紅葉の名所です。
しかし、この素晴らしい体験を心から満喫するためには、一つだけ、絶対に軽視してはならない準備があります。それが「服装」です。
「麓は暖かかったのに、山頂は凍えるほど寒かった…」
「歩いて汗をかいた後、急に冷えて風邪をひいてしまった…」
そんな失敗をしないために、この記事では高尾山の紅葉狩りに特化した「服装と持ち物の完全ガイド」をお届けします。

気温別の具体的なコーディネートから、必須の持ち物リストまで、あなたの不安をすべて解消します。万全の準備で、最高の思い出を作りに出かけましょう!
2025年 高尾山の紅葉の見頃はいつ?時期ごとの気温と特徴
服装を考える上でまず大切なのは、あなたが行く時期の気候を把握することです。高尾山の紅葉シーズンは、大きく3つの期間に分けられます。

11月上旬~中旬:色づき始め(平均最高気温:15℃前後)
山頂から徐々に色づき始める、シーズンの幕開けです。平地の気候に近く、日中はポカポカ陽気で過ごしやすい日もありますが、朝晩はグッと冷え込みます。歩き始めは少し肌寒く、歩き出すと汗ばむような、寒暖差への対応が服装選びの鍵となります。
11月中旬~下旬:紅葉のピーク(平均最高気温:12℃前後)
山全体が最も華やかに彩られる見頃のピーク。ケーブルカー乗り場から登山道まで、一年で最も混雑する時期でもあります。日中の気温もあまり上がらず、山頂は日差しがないと冬のような寒さを感じることも。しっかりとした防寒意識が必要になります。
12月上旬:見頃終盤(平均最高気温:10℃以下)
紅葉が終わりを迎え、山は冬の装いへと移り変わります。落ち葉が絨毯のようになり、それはそれで美しいですが、気温は一桁になることも珍しくありません。この時期に行くなら、完全な冬山ハイキングの服装と心構えが必須です。
【基本原則】高尾山の紅葉狩り服装は「レイヤリング(重ね着)」が鉄則!
「暑い」「寒い」にすぐ対応できる体温調節こそ、秋の山歩きを快適にする最大の秘訣です。そのための基本原則が「レイヤリング(重ね着)」。役割の違う3枚の服を重ねることで、驚くほど快適に過ごせます。

① ベースレイヤー(肌着):汗冷えを防ぐ最重要アイテム
肌に直接触れる一番下の服です。その役割は、かいた汗を素早く吸い取って乾かし、汗による体温の低下(汗冷え)を防ぐこと。普段着の綿(コットン)Tシャツは、濡れると乾きにくく体を冷やすため絶対にNGです。ユニクロの「ヒートテック」に代表されるポリエステルなどの化学繊維か、高機能なメリノウール素材を選びましょう。
② ミドルレイヤー(中間着):暖かさを保つ調整役
ベースレイヤーと上着の間に着る、体温を保持するための服です。フリースジャケットや薄手のダウンジャケット、フリースベストなどがこれにあたります。暑ければ脱ぎ、寒ければ着る、まさに「体温調整の主役」。前開きのジッパータイプだと、さらに細かな調整ができて便利です。
③ アウターレイヤー(上着):風と雨から体を守る
一番外側に着る服で、冷たい風や急な雨から体を守るシェルターの役割を果たします。風が直接肌に当たると、実際の気温以上に体温が奪われてしまいます。防水透湿性のあるレインウェアや、風を通さないウィンドブレーカーが最適です。たとえ晴れていても、防風・防寒着として必ずザックに入れておきましょう。
【気温別】失敗しない紅葉狩りコーディネート具体例
理論がわかったところで、次は具体的なコーディネート例を見ていきましょう。「最高気温」を目安に、ご自身の行く日の予報と照らし合わせてみてください。

最高気温15℃~20℃(暖かい日)の服装
- 上半身: 速乾性の長袖Tシャツ + フリースベスト
- 下半身: 動きやすいトレッキングパンツ
- ザックの中: ウィンドブレーカー、薄手のレインウェア
- ポイント: 日差しがあると汗ばむ陽気。ベストで体の中心を温めつつ、腕は動かしやすいスタイル。暑くなったらベストを脱ぎ、寒くなったらウィンドブレーカーを羽織ることで柔軟に対応できます。
最高気温10℃~15℃(ピーク時期の標準)の服装
- 上半身: 化学繊維の長袖肌着 + フリースジャケット
- 下半身: 少し厚手のトレッキングパンツ or サポートタイツの上にショートパンツ
- ザックの中: レインウェア、薄手のダウンジャケット
- 小物: ニット帽、手袋
- ポイント: この気温になると、フリースが終日活躍します。ニット帽や手袋といった小物が、体感温度を大きく左右します。特に風の強い山頂では必須アイテムです。
最高気温10℃以下(寒い日・12月)の服装
- 上半身: 暖かい高機能肌着(厚手) + 厚手のフリース + ダウンジャケット
- 下半身: 裏起毛などの冬用トレッキングパンツ
- 小物: 冬用の帽子、厚手の防水手袋、ネックウォーマー
- ポイント: 完全に冬の装備です。アウターのダウンジャケットは休憩中や山頂で体を冷やさないために重要。ネックウォーマーで首元を温めるだけで、体感温度が格段に上がります。
服装以外も万全に!紅葉狩りの持ち物チェックリスト
快適な紅葉狩りは、服装だけでなく持ち物も重要です。以下のリストを参考に、忘れ物がないかチェックしましょう。

カテゴリ | アイテム | 理由・ポイント |
---|---|---|
【必須】 | ザック(リュックサック) | 脱いだ服や雨具を入れるため。両手が空くタイプが必須。 |
歩きやすい靴 | 登山靴がベスト。最低でも裏が滑りにくい運動靴。 | |
雨具(上下セパレート型) | 天気予報が晴れでも必須。防寒着にもなる。コンビニの傘やポンチョはNG。 | |
飲み物 | 夏ほど汗をかかなくても水分補給は重要。500mlペットボトル1本以上。 | |
モバイルバッテリー | 写真を撮ったり地図を見たりで電池消費は激しい。 | |
健康保険証 | 万が一の怪我や体調不良に備えて。コピーでも可。 | |
ゴミ袋 | 高尾山ではゴミ持ち帰り運動を実施しており、ゴミ箱は設置されていません。ゴミは必ず持ち帰るのがルールです。 | |
【推奨】 | 温かい飲み物 | 魔法瓶(サーモス)に入れたお茶やスープは、冷えた体を芯から温めてくれる。 |
行動食 | チョコレートやナッツなど、手軽に糖分補給できるもの。 | |
座るための小さなマット | 濡れたベンチや地面に座る際に重宝する。 | |
手袋・ニット帽 | 小さくても防寒効果は絶大。 |
意外と知らない?高尾山の服装に関するQ\&A
最後に、紅葉シーズンの服装に関してよくある質問にお答えします。
- Qスニーカーでも大丈夫ですか?
- A
最も整備されている1号路であれば可能ですが、あまり推奨はしません。紅葉シーズンは、たくさんの落ち葉が道を覆います。特に雨の後などは、この落ち葉が非常に滑りやすく、スニーカーでは転倒のリスクが高まります。安全のためにも、靴底に凹凸のあるハイキングシューズや登山靴のご準備を強くおすすめします。
- Qおしゃれな普段着(ジーパンやスカート)で行きたいのですが…
- A
気持ちは分かりますが、安全と快適のためには避けるべきです。特にジーパンは、伸縮性がなく動きにくい上に、汗や雨で濡れると非常に乾きにくく、気化熱で体温を奪ってしまうため危険です。スカートも登山には不向きです。最近は、機能的でおしゃれなデザインの山スカートやトレッキングパンツがたくさんありますので、そちらを検討してみてください。
- Q麓と山頂の気温差はどのくらい?
- A
一般的に、標高が100m上がると気温は約0.6℃下がると言われています。高尾山の標高は599.30mなので、麓と山頂の気温差は単純計算で約3.6℃です。さらに山頂は風を遮るものがないため、風が吹くと実際の気温以上に寒く感じます(風速1m/sで体感温度が約1℃下がる目安。ただし、実際は風速が大きくなるほど効果は逓減します)。麓が暖かくても、上着を1枚多く持っていく理由がここにあります。
▼服装やコースの最終確認はこちらで
当日の天候や登山道の状況など、最新の情報はビジターセンターで確認するのが最も確実です。

基本情報 | データ |
---|---|
施設名 | 高尾ビジターセンター |
住所 | 東京都八王子市高尾町2176(高尾山頂) |
電話 | 042-664-7872 |
公式サイト | https://www.ces-net.jp/takaovc/ |
高尾山の紅葉狩りに最適な服装 まとめ
最高の紅葉体験は、万全の準備から始まります。
- 行く時期の気温を把握し、
- 「レイヤリング(重ね着)」を実践し、
- 歩きやすい靴と雨具を必ず用意する。
この3つのポイントをしっかり押さえれば、高尾山の紅葉を心から満喫できるはずです。美しい景色は、快適な服装があってこそ。

ぜひ、この記事を参考に万全の準備を整えて、安全で思い出深い一日をお過ごしください。