こんにちは、当メディア主宰 佐藤です。(→ こんな仕事をしています )
今回は、裏高尾で密かな人気と噂の「高尾山リトリート」をご紹介します。
高尾山リトリートとは、高尾山北側の自然の中で四季折々のネイチャーガイドやボディワークなどの森林セラピーを受けながら、忙しい現代社会からひととき身を離して1日自然に浸る、新しいガイドツアーとのこと。
ツアーガイドは「自然遊びの達人」の異名をとる、山口 剛(たけし)さん。
高尾山を知り尽くしている、リトリート案内人です。
今回は高尾山リトリートのイントロ部分を体験しながら、剛さんにいろいろとお話を聞いてきました。
目次
裏高尾で自然を満喫!ブレイク寸前の高尾山リトリートとは?
2020年9月中旬の天気が良い午前10時。
私とカメラマンの美穂子さんは、高尾山リトリートの「さわり(※)」を体験すべく、待ち合わせ場所である「日影沢キャンプ場近くの駐車場」に車を停めました。
(※正式なプログラムは午前10時から午後4時にかけて開催されますが、今回は取材のため、午前中2時間弱の軽いコース案内という意味です)
駐車場は旧甲州街道を景信山登山口方面に向かい、「浅川国際マス釣場」を通り過ぎた辺りの、左手に見える細い道に入るとすぐ右手にありました。
駐車場に着くと、「自然遊びの達人」の異名をとる山口 剛(たけし)さんがお出迎え。
さて、いったいどんな体験が私達二人を待ち受けているのでしょうか。
▼ 山口 剛さんプロフィール
もともとはフリーランスの広告コピーライターを25年間従事。
高尾山近くにある畑で、自供自足のための自然農をしていたり、食べられる野草や、薬草などにも詳しい。
20年前に太極拳と出会い、現在は教室を主催、また選手として大会にも出場。
太極拳を入り口とした独自のからだへの探求から、施術やヘルスケアツアーのボディワーク講師やトレイルランニング大会のウォーミングアップトレーナーなども行っている。
2015年に東京都の助成事業である『生物多様性ガイド養成講座』に参加。
1年3ヶ月の間、毎週「自然の師匠」と一緒に山を歩いて高尾山の自然を学びました。
2018年6月、自然を楽しみ心身もときほぐすガイドツアー「高尾山リトリート」をスタート。
自分の仕事は「実はかなり不自然な生活をし続け、誰もが少なからず(無自覚でも)苦しい思いを抱いている現代に、自然の中でその人本来の自分に還ってもらうこと」と話す。
駐車場で、剛さんに高尾山リトリートとはどんなツアーなのか聞いてみました。
「高尾山リトリートとは、高尾山北側のエリアで、時間をかけて自然散策しながら心身をリセット・リフレッシュ。日帰りで自然を満喫する新しいフィールド・トリップです。
ものすごくゆっくり歩いて立ち止まりながら道端の植物や生物を観察したり、季節を肌で感じたり、おいしい空気を吸ったり、無理なくからだをほぐしたり、天然の湧き水を汲みに行ってその水でコーヒーやハーブティを淹れたりして楽しんでいただきます。」
どれくらいゆっくりかというと、普通に歩くと7分程度の道のりを、約1時間半かけて進んで行くというゆっくりさ!
これならご年配の方や、体力に自信のない方でも安心して参加できますね。
さて、駐車場から日影沢キャンプ場に向けて、高尾リトリートのさわりツアーが始まりました。
ゆっくりと道端の植物や生物を観察しながら、剛さんの解説が加わります。
この解説が最高に興味深く、聞いたあとは道端の植物を見る目が変わってくるのです。
参考に、一部だけ。
江戸時代の循環型社会は、杉が寄与したというお話です。
江戸時代の循環型社会は杉によって編集された?
時代を江戸時代に遡ります。ちょっと想像して下さい。
今のように木を伐採して板にする電気工具がない時代のことを。
想像ができたら、剛さんの解説を聞いてみましょう。
その昔、江戸は百万都市でした。当時、世界で百万都市はパリとロンドンと江戸だけ。
パリとロンドンは人々の排泄物などは垂れ流しで、街がすごく汚くて臭かった。このため香水文化が発達しました。
対して日本は、板を作りやすい杉のおかげで樽や桶を作れた。
この桶に排泄物を入れて業者が郊外へ運んだため街はきれいだった。
郊外では農家が肥を買い、畑の肥料とした。
畑で採れた野菜は再び街へ還ってきて人々の食糧となった。
という、杉のおかげで肥桶ができ、清潔で循環型の社会が創られたというお話です。
この話のキモは、電気工具がない時代は木から板を作るのは難しかったということです。
日本原産の杉は、繊維がまっすぐで、斧で簡単に薄い板が作れた。
杉のおかげで樽も作れ、日本酒や味噌や醤油などの発酵文化も進んだといいます。
当時は漬ける入れ物を作るのもたいへんだったということですね。
このように、解説を聞きながら少しずつ歩いていくのですが、ほんの数メートル進むだけでも植物の顔ぶれがダイナミックに変わっていくことに驚かされました。
そして、剛さんのお話のあとに植物を見直すと、彼らの見え方がはっきり変わっていることに気付きます。
彼らが人間と同じように、他の植物と情報を交換したり、連携したり、ときには人を利用しながら生きているということを。
ツアー開始から1時間ほどかけてゆっくり歩き、日影沢キャンプ場に到着。
さらにキャンプ場をすこし過ぎたあたりの川原まで行って、駐車場へ折返しました。
本当はこの川原にヨガマットを引いて、ゆったりとボディワークをしてからだを整えるのだとか。
今回は「さわり」のツアーだったので、この工程は省略しました。
午前中の2時間足らずの体験ツアーでしたが、高尾山リトリートの魅力を垣間見ることができたのではと感じています。
そして、「私が子供の頃に、こんな素敵なツアーがあったら絶対に参加したかったな」と、お世辞抜きで思いました。
「昨年は TABICA という体験マッチングサイトから親子ツアーの体験提供の依頼を受け、それが大人気となり、開催日を告知するとすぐに定員満員、2ヶ月先まで予約で埋まってしまう 『予約の取れないツアー』になりました。
おかげで高尾山リトリート自体の開催日がなかなか設けられないほどです。
高尾山リトリートに参加したいな、と感じた方は公式サイトをご覧のうえお問い合わせ下さい。」
高尾山は屋久島以上の自然に出会える場所
それにしても、高尾山はどうしてこんなに植物種が多いのでしょう?
「高尾山は身近な低山のイメージがあるかと思いますが、日本で植物が一番多い山で、その数約1500種です。自然が豊かなイメージもある屋久島は1,800種ですが、それは島全体の数で、高尾山の20倍の面積によるものです。
単純に屋久島の面積を1/20にすると90種類になるので、いかに高尾山は自然が凝縮されているかということがわかります。
高尾山がミシュランガイドの三ツ星を取ったのも、その植物種数がイギリス全土に匹敵するという驚異的な自然の豊かさから来るものですが、面積比は高尾山に対してイギリスはなんと9,300倍。
そんな植物たちに支えられて、昆虫5,000種(日本3大昆虫生息地のひとつ)、鳥類160種(日本の鳥の1/4種類)、哺乳類、爬虫類、両生類などが豊かに共生しています。
高尾山の自然が豊かな理由の一つは、東日本の植物分布帯のラインと西日本の植物分布帯のラインが、高尾山のところでちょうど交わっているためです。
この両方の植物分布帯の端っこという地理的要因から、高尾山には両方の植物が群生しているのです。」
なるほど、高尾山は東西の植物種が群生する稀有な場所だということですね。
高尾山リトリートでいろいろな植物に会える理由に納得しました。
高尾山リトリートの目標と今後について
取材の最後に、高尾山リトリートの活動目標と今後について聞いてみました。
「高尾山リトリートの活動目標は大きく二つあります。
ひとつめは、自然に乖離した不自然な生活を送っている人たちに、本物の自然に触れて浸ってもらい、もう一度「本来の自分」に還ってもらうこと。
ふたつめは、このような現代日本人のストレスを軽減し、ゆるやかな予防医療につなげることです。
私には21年間取り組んでいる太極拳がありますが、この太極拳を入口に、東洋医学、西洋医学(解剖学)、各種ボディーワークや整体術(操体法)、瞑想、日本の古武術など広く学ぶようになりました。
どうしたら、深い呼吸ができるようになるか、からだの力を抜くことができるか、関節などの可動域を簡単に無理なく大きくする方法、ゆがみを取って本来のからだに整復する方法、肩こりや腰痛の改善、本来の心地よいゆったりとしたからだと命の状態になれるかがわかっているので、それもツアーの中で皆さんと一緒にやります。
これがあることも、自然のガイドツアーと高尾山リトリートの大きな違いです。
こうして、「太極拳」「からだのこと」「自然」と、好きなことがすべて仕事になりました。
どれも楽しく、呼吸をするように自然にできる仕事で、それで「ありがとう」と心から言ってもらえて、今は最高に幸せです。
元々はフリーランスのコピーライターを25年もやっていたのですが、資本主義社会や貨幣経済のことに疑問を持つようになりました。
この『社会や経済の在り方』のエンジンのひとつである広告の仕事は辞めつつあって、上述した『好きな仕事』だけでも食べていけるようになったので、コピーライターはもう卒業するつもりです。」
またまた高尾山の麓に素敵なフモト民、見つけました。
高尾山リトリート主宰 山口剛(たけし)さん。
これからも資本主義社会でストレスを抱えた多くの人たちに、本来の自分に還るきっかけを与えて下さい。
高尾山リトリート 基本情報
HP:http://takao3retreat.com/
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ジャンル:アウトドアレジャー
高尾山リトリート開催場所
Photo by 渡邉美穂子( mommy 主宰 )
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