高尾山へ行く時、電車を降りて真っ先に目にする風景はコレでしょう。
そう、言わずと知れた京王線・高尾山口駅。
週末・休日は多くの登山者で駅前の広場が埋め尽くされますね。
けれども1967年の京王高尾線延伸前に高尾山の玄関口となっていたのは、国鉄(現JR)中央線の高尾駅。
この時代に高尾山を訪れる人々は甲州街道(国道20号線)を歩きながら、高尾山を目指しました。
現在は京王高尾線で1駅、歩く人も少ないこの区間ですが……はっきり言って素通りはもったいなさすぎる!
約30分で歩けるJR中央線・高尾駅から京王線・高尾山口駅までの甲州街道(国道20号線)沿いには素敵なスポットが盛り沢山なのです。
今回は高尾山登山の前後はもちろん、街歩きでも存分に楽しめるこのエリアの魅力をご紹介します。
目次
JR中央線・高尾駅
スタートはJR中央線・高尾駅北口。
この高尾駅は2022年で開業120周年!「関東の駅百選」にも認定されている名駅なんですよ。
小仏や陣馬高原下など奥高尾縦走路から高尾山をめざす登山口へのバスも、ここから発着しています。
wine&cafe DAIKOKUYA
北口ロータリーを直進し、ファミリーマートを左に曲がると甲州街道ぶらり街歩きが始まります。
沿道で最初にご紹介するのが「wine&cafe DAIKOKUYA」。
戦前に大黒屋酒店として創業し、現在は3代目オーナーが洗練された店内でお客様を迎えています。
今回とは逆コースで高尾山から下山後に、JR高尾駅まで歩いて帰路に着く際のほぼ最後の「アルコールスポット」。
店名通りのワインはもちろん、ランチメニューやこだわりのコーヒーも充実していますよ。
大光寺
早春であれば、JR中央線の踏切を渡り京王線の高架をくぐり、南口に寄り道してみましょう。
「大光寺(真言宗 正名山 地蔵院 大光寺)」は、高尾山薬王院有喜寺と同じ真言宗智山派の寺院。
「開かれたお寺を」をモットーに一般参拝客にも門を解放しています。
例年3月下旬には、高尾周辺でもっとも早く桜が開花。しだれ桜や江戸彼岸桜で境内一面が彩られます。
GALLERY/N
再び甲州街道沿いに戻り、南側を歩いて行くと「GALLERY/N」の洗練された建物が。
日々の生活を楽しむ雑貨をモットーに様々なグッズが所狭しと並べられています。
解放感ある吹き抜けの空間は、建築家であるオーナーのご主人の設計によるもの。
「GALLERY/N」オリジナル制作のここにしかない1点モノの雑貨の販売だけでなく、トールペイント教室や編み物レッスンなどのワークショップも開催。
中庭に面したキッチンでは料理教室も開催され、日々の生活を豊かに楽しみたい女性たちの集いの場になっています。
アクセサリー・バッグ・パッチワークキルト・服飾品など、様々なアイテムを扱う「GALLERY/N」。
特に人気の雑貨は、同じく中庭に面した工房で制作される「いつもの生活をよりインスパイアさせるモノとしての器」。
料理教室でも使用される「美味しいものを美味しく」というこだわりの詰まった器類は注文が多く、制作が間に合わないほどだそうですよ。
御菓子司 有喜堂 北口支店
さらに進むと甲州街道の北側にお店を構えるのが「御菓子司 有喜堂 北口支店」。
高尾山の表参道に本店や甘味処を構えるのが有喜堂。
高尾まんじゅうや高尾せんべいは高尾山土産の定番ですね。
支店とはいえ名物の高尾せんべいは店内で手焼きされ、出来立ての味わいと歯ごたえを楽しむことも可能。
高尾山の紅葉をイメージしたもみじ型がかわいらしく、定番の他にしそ味も販売されています。
他にも季節の生菓子やフィナンシェなどの洋菓子まで、多彩なお菓子がずらりと並ぶショーケース。
おやつやお茶請けに……地元の人々に愛されるお店です。
アートギャラリー春しるべ
高尾駅前第三信号手前、甲州街道の南側に2022年3月にオープンしたのが「アートギャラリー春しるべ」。
木の風合いを活かした明るい空間が広がります。
実は多くのアーティストが拠点を構える高尾周辺。
このギャラリーでは個性あふれる作品の展示会が行われ、いつ訪れても新鮮なアートとの出会いや喜びを導いてくれる場所なのです。
オーナーの谷本朋子さんはミニチュアドールハウス作家。
ギャラリー奥には「ミニチュアドールハウスRUNA」が併設されており、谷本さんからミニチュアドールハウス作りの手ほどきを受けることもできます。
谷本さんへの依頼の中には、少子高齢化で後継者がおらず閉店するお店や取り壊す住宅などを、ミニチュアとして思い出に残したい……というケースも多いそう。
納品の時に涙を流して「依頼して良かった」と喜ぶ様子が、谷本さんのモチベーションにもなっているのです。
蓮華茶屋
「アートギャラリー春しるべ」のお隣にあるのが「蓮華茶屋」。
名物の蓮華茶屋謹製高尾ハンバーグ®︎は商標登録されている逸品。
地元名物・するさしの豆腐を使ったサラダも人気です。
酒と創作和食の店の名の通り、アルコール類も充実。
特に100種類以上のラインナップを誇る本格焼酎の中には、森伊蔵など高級銘柄も。焼酎好きには見逃せないお店です。
えのもとサーキット
甲州街道をさらに西へ進むと現れるのが「えのもとサーキット」。
TVなどのメディアでも度々紹介されるミニ四駆の専門店です。
店内にはミニ四駆本体だけでなく、グレードアップのためのパーツ類も充実。
自分だけの1台にカスタムすることも可能なのです。
お店の奥には常設のサーキットも常時設置。
実際に走行させることもできる他、えのもと杯・えのもと耐久レースなどのお店主催のレースも開催されています。
何よりの魅力は、店主である榎本さんの気さくな人柄。
手が空いている時であれば、店先でミニ四駆談義に花を咲かせることもできますよ。
やがて甲州街道は緩やかに南西方向へカーブし、両界橋でJR中央線のガードをくぐります。
ここから見る南浅川の清流は、色濃い自然が残る高尾山麓の風情を堪能できるちょっとした絶景です。
峯尾商店
高尾山口駅へ向かう甲州街道と裏高尾・小仏バス停方面へ向かう旧甲州街道の分岐にある「峯尾商店」。
長年愛され続けてきたタバコ店です。
ラインナップ豊富なタバコは一般的な紙巻き以外にも、葉巻や刻みタバコなど珍しいものも。
愛煙家にとっては気になる存在です。
大人だけでなく子どもにも嬉しい峯尾商店。
小銭を握りしめて来店するちびっ子のお目当ては、充実した駄菓子です。
地域の人々に愛されてきたのも納得ですね。
上椚田橋
甲州街道をさらに進むと上椚田橋を渡ります。
1937年竣工という歴史ある橋ですが、両岸に立つ石造りの灯籠以外は目立つものもなく通り過ぎてしまいがち。
けれどもこの場所は、高尾山を語る上で見逃せないポイントなのです。
高尾山は分水嶺の役目も果たし、南側には大垂水峠に端を発する案内川(写真奥)。
北側には小仏峠に端を発する南浅川(写真手前)が流れています。
この2つの河川が合流する場所が上椚田橋。
大きな地勢の上では、高尾山域の末端とも言える場所なのです。
甲州街道東側の歩道からは、合流地点を真下に見下ろすことができます。
CAFE CHOUCHOU
上椚田橋を渡ると甲州街道はほぼ南方向へカーブ、その先にあるのが「CAFE CHOUCHOU(カフェ シュシュ)」。
高尾エリアで最初にグルメバーガーを提供したお店として、現在も10種類以上のラインナップが。
その他、カレー・パスタ・ロコモコなどのフードメニューやドリンク・スイーツも。
明るく解放感のある店内や、案内川のせせらぎを見下ろすテラス席で楽しむことができます。
オーナーである中村さんご夫妻とサブマネージャーの娘さんで切り盛りするこのお店。
ご主人は日本人とアメリカ人のハーフでアメリカでの生活経験も。
アメリカのソウルフードであり身近な味覚だったハンバーガーを、高尾の地で味わってほしいと思いこのお店をオープンさせたそうです。
アメリカンなテイストあふれる内装のお店の奥には、対照的に純和風の茶室・やまぶき庵が。
何と娘さんは裏千家の先生でもある茶道のプロフェッショナル。茶道体験をすることもできますよ。
Mt.TAKAO BASE CAMP
甲州街道をさらに南下し、ファミリーマート・セブンイレブンを過ぎると道路西側に建つのが「Mt.TAKAO BASE CAMP」。
コンセプトである「麓の山小屋」のとおり、2階部分はゲストハウスになっており宿泊も可能。
1階部分のカフェでは、ハンバーガーやステーキなどボリューム満点のメニューから、スイーツ、クラフトビールやナチュールワインまで、様々なメニューを味わうことができます。閑散期以外は誰でも利用できるモーニングも!登山前の「山の朝ごはん」もオススメですよ。
カフェスペースでは山を楽しむイベントも開催。
トレイルランニングや自然観察から登山講習まで、様々な企画が実施されています。
また最近ではリモートワークも人気。
Wi-Fi完備のカフェやテラスで高尾の自然に浸りながら、思い思いのペースで仕事をする人々の姿も目立ちます。
Mt.TAKAO BASE CAMPの最大の特色がシャワー&ロッカーが併設されていること。
トレイルランニング用のシューズやバックパックのレンタルもあり、気軽にトレランを体験できます。
ランニング中の荷物を預けることができ、ランニング後はさっぱり汗を流せる嬉しいお店。
休日の午後は気持ちの良いランニングを終えてビールで乾杯するランナーたちで賑わいます。
高尾フモト同盟|Mt.TAKAO BASE CAMPの取材記事
Mt.TAKAO BASE CAMPを後にしたら、京王線の高架をくぐり甲州街道の東側に渡りましょう。
東山カレー
毎週金曜日のみ営業というレアなお店が「東山カレー」。
名物の牛すじカレーはホロホロに煮込まれた舌ざわり、別添えのスパイスで辛さの調節も可能です。
週替わりのおススメ小鉢もカレーが進む逸品ばかり。アルコールやソフトドリンクメニューも充実しています。
スプーンが止まらなくなってカレーが足りなくなってしまったら……追い足しカレーも可能ですよ。
Cafe Mariposa
東山カレーのお隣、小高い斜面に建つのが「Cafe Mariposa(カフェ マリポーサ)」。
蝶好きなオーナーがスペイン語で蝶々を意味するマリポーサという店名にしたそうです。
館内の貸しスペースではクラフト作家によるワークショップが開催されていたり、その作品や高尾山の植物図鑑も販売されています。
名物は種類豊富なピザと手作りのスイーツ。
ビールをはじめワインや高尾の地酒など、ドリンクメニューも充実しています。
天気が良い日には高尾山口駅に発着する京王線の電車も望むことができるテラス席。
花や植物もたくさん植えられており、店名の通り蝶々が遊びに来ることもあるそうですよ。
Cafe Mariposaのお隣、トリックアート美術館の横を進んで行けば、氷川神社の鳥居が目印の高尾山口駅入口は目の前です。
高尾山だけではもったいない!フモト探訪を楽しもう
どのコースを歩いても半日もあれば登頂できる高尾山。
京王線・高尾山口駅からの往復だけでなく、登山前・下山後に今回ご紹介したスポットに寄り道してみませんか。
もちろん、街歩きだけでもボリューム満点。
気がついたら夕方になっていた……なんていう充実した1日を、高尾のフモト・甲州街道沿線で過ごすことができたら素敵ですよね。
コメント