陶工房 日々器 ~築100年の古民家で創作される暮らしの器~

八王子グルメ探訪より引用 あめとつち定食

手つかずの自然が豊かに残る陣馬山麓に、ひっそりとたたずむ陶工房「日々器」。
かつてこの街の繁栄を支えた養蚕農家だった古民家を改装した工房兼ギャラリーは、訪れる人を魅了します。

営むのは陶芸家 中田麻子さん。

工房日々器主宰 中田麻子さん

「陶工房 日々器」主宰 中田麻子さん

理想の工房を求め、単身で引っ越してきたのが今から14年前。
現在では、家族が増え、子育てと両立させながら、創作活動に励んでいます。

中田さんが作り出す陶器はどれも素朴で温かみのある器。
作品に込めた想い、古民家との出会いなどお話を伺ってきました。

『雑器の美』をカタチに

ろくろを回す中田さん

陶芸家としての中田さんのルーツは、中学生時代にさかのぼります。

「家族で訪れた益子焼(※1)の陶器市で、陶器って素敵だなと思ったのが始まりでした」

漠然とした気持ちを将来の夢へとつなげたのは、『雑器の美』という言葉だったそうです。

「高校の授業で、この言葉に出会いました。
ありふれた生活日用品の中にこそ美しさがある、という考え方なのですが、とても印象に残って。
私も陶器を通じて、日々の暮らしに美しさや特別感を届けたいと思ったんです。」

高校卒業後は、工芸文化学科がある大学に進学。

「大学では陶芸を専攻して、工芸の幅広い知識を学ぶことができましたが、陶芸専門の学校ではなかったため、より深い知識・技術は、友人と独自に研究しました。実は、研究を共にした友人が左利きで。
一緒に菊練り(※2)の練習をしたので、菊練りは左利きの練り方に仕上がるんですよ。」

中田さんの作品からホッとする優しさを感じるのは、形式にこだわりすぎない ‟おおらかさ” が生み出しているのかも知れません。

※1 栃木県芳賀郡益子町周辺を産地とする陶器のこと
※2 陶芸の土をこねて空気を抜く作業。リズムカルに均一の力で練ることで菊の花のような模様ができ、一人前にできるようになるまで3年かかると言われている

築100年の古民家との出会い

お庭のお堂

自然がいっぱいの広いお庭にはお堂も見える

大学卒業後は、陶芸家になることを決めていた中田さん。
窯元に弟子入りするのではなく自分の窯を持ちたいと、独立資金を貯めるため、スーパーマーケットで本部事務の仕事に就きます。
事務の仕事をしながら、陶芸作家の元に通いで学び、5年の歳月をかけて準備しました。

川原に続く階段

自宅裏には川が流れていてとても気持ちがいい

「独立に不可欠なのが、工房となる場所です。
初任給で買って実家で使っていた電気窯は、焼き上がりが安定していていいのですが、少し面白味に欠けると感じていたため、独立するなら灯油窯で焼きたいと思っていました。
となると、煙が出ますので、煙がご迷惑にならない場所で、庭があって、作業するのにある程度の広さがあるところが条件でした。」

陶芸 窯 灯油窯

中田さんがこだわった灯油窯

物件をいくつか見た中で出会ったのが、陣馬山麓にたたずむ築100年の古民家。

「5部屋にキッチンと土間と広い庭。
工房だけではなくギャラリーも併設できますし、ここだ!って、思いました。
ただ、当時は独身でしたので、一人で住むには広すぎる家でしたし、夜の暗闇、沢のせせらぎの音とか、初めはちょっと怖かったです。」

と微笑みます。

日々の暮らしの中にある器

日々器の暖簾

暖簾は「染工房シゲタ」さんで創ってもらったもの

そして2007年、陶工房「日々器」が誕生しました。

「日々の何気ない生活の中で使っていただける器でありたいという意味を込めて『日々器(ひびき)』と名付けました。ですので、どんどん普段使いをしていただきたいと思っています。
器を使うことで料理することが楽しく思えたり、買ってきたお惣菜でも器に盛り付ければご馳走になったり、スーパーのお寿司を器に盛り付ければ、お寿司屋さんで食べているような気分になったり。
そんな風に、日々の何気ない食卓に彩りや遊び心をもたらすお手伝いが出来れば。」

高尾食堂あめとつちで使われている六角形のお皿

裏高尾の自然食堂「高尾食堂あめとつち」で使われているお皿

中田さんの器は、益子から取り寄せた土など3種類ほど混ぜ合わせ、オリジナルブレンドの釉薬で仕上げる素朴で味わい深いのが特徴。どんなお料理にも合う万能の器は、個人のお客様だけではなく、地元の人気店オーナーの目にも留まります。

八王子グルメ探訪より引用 あめとつち定食

「あめとつち定食」の美しさの原型のひとつは、日々器の器にある

裏高尾の自然食堂『高尾食堂あめとつち』では、メインディッシュをのせる正六角形のお皿を、自家製粉の手打ち蕎麦『蕎麦と杜々』では薬味皿で愛用されています。

時を忘れるギャラリー

古民家らしい立派な梁や柱、障子越しの日差し―。
静かなギャラリーで中田さんの器を見ていると、こんな風に使いたいな、この料理が合うかな、などイメージするのが楽しく、つい時が経つのを忘れてしまいます。

「現在は、ギャラリー見学も陶芸教室も予約制でお願いしています。
陶芸教室は、少人数で行いますので、初めての方でもお作りになりたいものができるようサポートしています。
お子様と一緒にお見えになる方も多いんですよ。」

来年春に開催が延期になった『陣馬山麓アトリエ展』では、期間中、工房・ギャラリーを開放する予定とのこと。(コロナ禍の現状を鑑み、オンライン開催となる可能性があります。)
イベントなどの予定はFacebookやInstagramで発信しています。

工房基本情報

住所:東京都八王子市上恩方町4510‐甲
電話:090-1733-0388
Mail:hibiki.asako@gmail.com ※お問い合わせはこちらのメールにてお願いします
HP:http://hibi-ki.com/
Facebook:@toukoubou.hibiki
Instagram:@hibiki.works
ジャンル:陶芸・工房

お問い合わせはこちら

アクセスマップ

Photo by 渡邉美穂子( mommy 主宰

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